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日ごろ感じたり考えたりしたことをつらつらと。ウェブで奏でるダウンホームブルース…みたいな。


by harris-b48
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今日は観劇。

本多劇場にて上演中の『サンシャイン・ボーイズ』(ニール・サイモン作)を観てきました。加藤健一事務所の公演です。

先月だったかな、同作品の戯曲本を読んで、ぜひとも舞台を観てみたいと思っていた作品です。チケットが取れてほんとよかった。

前回の『鍵泥棒のメソッド→リブート』に続いての本多劇場参戦となりましたが、前回がドルオタ全開の客席で面食らったのに対し、今日の客層は年齢層高め、本来の芝居好きの方々が集まっている印象でした。

加藤健一事務所の演目がね、洒落た翻訳物の芝居ばかりなので、そういう芝居が好きな人たちが集まっていたと思われます。

芝居は期待通りといいますか、十二分に楽しむことができました。観に来れてよかった。本当に。

往年のお笑いコンビ「サンシャイン・ボーイズ」の二人を加藤健一、佐藤B作の両氏が好演、熱演が何にもまして光っていたこの作品。

元よりベテランのお二人が脚本の設定通りの年齢になり、それぞれの役を演じたことで、それこそニール・サイモン氏が描きたかった『サンシャイン・ボーイズ』にかなり迫る出来になっていたのではないかと思われました。

作品は、前述の往年のお笑いコンビ「サンシャイン・ボーイズ」の二人、ウィリーとアルのお話です。

仲違いからコンビとしての活動を停止して以来、11年間一度もも顔を合わせず連絡もとらずでいた二人のところにテレビ局からコンビとしての出演のオファーが来るのですが、反りが合わないのは昔と同様で、歳をとった分むしろお互いに受け入れ合えなくなっており、稽古を使用にもいがみ合ってばかり。

それでも、なんとかテレビ局でのリハーサルにこぎつけるのですが、そこでも諍いが発生し…というのが作品の概要です。

最後の最後、びっくりするようなオチとそこで両者から飛び出す往年のコントのセリフ。二人がそれを言ってお互いを指さした時(おそらくこれもコント内の動きなのでしょう)、観ていてなんか涙ぐんでしまいました、私。

元々コメディアンの劇ということで、その言動のひとつひとつが随所で笑いをとっていましたが、笑いだけではないんですよね。

ニール・サイモン作品のユーモアとかペーソスといったものもいかんなく発揮されていた作品であったと思います。本当に観に行けてよかった。

もっとニール・サイモン作品が観たいな、こうなると。

加藤健一事務所の芝居を観るのもかなり久しぶりでしたが、相変わらず上質な翻訳物の芝居を見せてもらえてとてもうれしかったです。感謝。

観劇の日々2024(2)~『サンシャイン・ボーイズ』を観た。~_b0128246_17485009.jpg




# by harris-b48 | 2024-01-28 17:48 | 演劇
『お帰りキネマの神様』(原田マハ著、文春文庫刊)読了。

ここのところ、SFに取り組んできているわけですが、まだまだいろいろとSFというジャンルに慣れなくて苦戦が続いています。

知識のなさ、想像力のなさ、加齢からくるものなのか集中力のなさのトリプルパンチでなかなか作品を堪能するところまでには至らず、本人的にもちょっと歯がゆい思いをしております。

そんな中で昨日本屋で見つけて購入したこの作品。

SFではないのですが。

山田洋次監督によって映画化された『キネマの神様』をノベライズした作品とのこと。

元々の小説の作者は原田マハ氏だそうで、原作者が映画版のノベライズを担当した格好になっており。

こういうケースって、けっこうあるんですかね。

原作を読んで感動した山田監督がこれを映画化せんとシナリオを書き、そのシナリオに原作者が感動してノベライズを引き受ける形になったらしいです。

だから、どこからどこまでも幸せな作品という言い方ができるのではないかと。

私自身は原作も未読かつ映画も未見という状態でこの本を手に取ることになりましたが、面白く読むことができました。

前頭葉の鍛錬のためにSFに手をつけていますが、本来こういうヒューマンドラマってやつが好きなのよね。日本人ですけ。

それはさておき。

映像技師で自身が映画館を経営しているテラケンとそこの常連客ゴウと淑子夫婦こその家族をめぐる物語です。

若い頃のテラケンとゴウは同じ映画会社に勤めていた同僚で淑子はその映画会社のスタッフ御用達の食堂の看板娘でして。

この辺は回想シーンとして描かれておりましたが、そこでこの三人の関係性をめぐってドラマがあったり(青春ですな)。

その回想シーンを経て現代へと場面は戻ってきてそこからもうひとつふたつドラマがあってラストシーンへとつながっていくのですが、映画がつなぐ人々の絆が見事なまでにドラマチックに描かれておりました。

上記3名の関係も映画があったからこそずっと続いてきたわけだし、テラケンさんが映画館を経営してきたのも彼の英語愛によるものだし、後年ゴウさんはギャンブルに身をやつして身を持ち崩すのですが、家族がゴウさんを見捨てなかったのはゴウさんの映画に対する熱い想いが家族に小さからぬ影響を与えてきたからだし。

いやー、映画って本当にいいものですね。と素直に感動いたしました。

独り者の私としましては、テラケンさんに共感するところが多かったのですが、彼のように大好きなものに生きることを全うできる生き方にとても感銘を覚えました。

大好きなものを真ん中に置いて生きていく。

独り者として生きていく上で大きな指針を得られたような気がしました。

当然、次は原作ですよね。映画も観てみよう。

読書の記録2024(1)~『お帰りキネマの神様』~_b0128246_09191548.jpg






# by harris-b48 | 2024-01-28 09:19 | 読書
昨日の話です。

午前中仕事して、昼過ぎに帰宅。

遅めの昼食の準備をしてそれとなくテレビをつけると、jsportsでラクビーの中継をやっていた。

リーグワン。

三菱重工相模原ダイナボアーズが東京サントリーサンゴリアスを圧倒していた。ホストゲームでサンゴリアスを迎え撃つダイナボアーズは、前半15分までにトライ4つを奪い、早くも29点をリードする展開。

これはすごい。

サンゴリアスも焦ることなく、着実にゲームを進め、29-4で折り返したのかな。

後半はサンゴリアスがジリジリと追い上げ、65分あたりで遂に逆転。地力の差を見せつける展開となりました。ダイナボアーズは後半ここまで無得点。

サンゴリアスがこのまま行くかなと思いきや、ダイナボアーズも終盤に奮起し、74分あたりで再び勝ち越し。

結局、最後の最後にサンゴリアスが逆転勝ちしたのですが、DIVISION1の舞台でサンゴリアス相手にここまでの勝負をしてみせたダイナボアーズ。

すごいなと、思わずため息をついてしまった次第。

三菱重工相模原ダイナボアーズといえば、我らが釜石シーウェイブス------今シーズンからは「日本製鐵」釜石シーウェイブスらしいが-----の宿命のライバルであったはずだが、とんでもなく遠いところへ行ってしまったよなあと思うばかり。

横浜キヤノンイーグルスなんかもそうだけれど、釜石よりも後発のチームが釜石を追い越して、みるみる高みへと上っていってしまうのをみるとね。なんともさみしい気持ちになるというか。

何が違うのだろう。どうして釜石は勝ち上がれずに下部リーグに甘んじているのだろうか。

ライバルといえば、神戸スティーラーズなんかもかつてのライバルだったわけで。

ほんと何が違うのか。

選手の補強の問題ひとつをとってみても、ただ単にお金の問題なのだろうか。神戸製鋼と日本製鐵はどちらが大手なんだ。そういう問題ではないような。

だとすると、ラグビーに対する哲学の差ということになるのかもしれない。そうは思いたくないけど。

かつて8回も日本一になったチームだもの。企業も地域もそれを理解し、支えてきたんだもの。釜石は。

だからこそ、もどかしいのだけれども。

どうしたらいいのだろう。

エディ・ジョーンズ級の指導者が来たらガラッと変わるのかな。

まあ、岩手のチームだから、急激に変わらずとも、高村光太郎の詩みたいに、地を征きて走らず、企てて草卒ならず、遂にその成すべきを成す、という感じで強くなっていってもらえればと思うのだが。

釜石シーウェイブスが発足して20年経つわけで、なんとか少しでも上に立ち位置を動かしたいところかと。

SNSなどでは、釜石は勝ち負けだけで評価されるのではない特別なチームという見方もなされていて、そういう側面が多分にあることは十分に承知しているし、これまでの釜石というチームや選手たちが嫌だったことなんてかけらもないけれども。

かけがえのない特別なチームであることは間違いのないところなのだけれど、そういう独自な立ち位置、独自の路線を目指しているわけではないですよね。

上位を目指してやっているはずだし、そう信じたいし、そういう姿勢、そういう努力を我々は支援していきたいと思っているわけで。

リーグワンは面白いよ。

DIVISION1はどの試合もとても見ごたえがあって、すごく盛り上がっている。

そこに釜石フィフティーンの勇姿が観れればこんな最高なことはないのだが。

DIVISION1のホストゲームで鵜住居復興スタジアムが満員になる。満員の釜石コールが聞ける日を待っています。

がんばれ釜石。

釜石シーウェイブスはすべての岩手県人の誇り、日本ラグビーの未来です。




# by harris-b48 | 2024-01-21 09:56 | ラグビー
『太陽の黄金の林檎』(レイ・ブラッドベリ著、ハヤカワSF文庫刊)読了。

ブラッドベリの短編集です。

短編といえども、1編ごとにけっこうな読みごたえのあるブラッドベリ作品ですが、この前読んだ『歌おう、感電するほどの喜びを!』を経て、だいぶ作品に入っていけるようになってきたといいますか、それなりに味わえるようになってきました。

ブラッドベリ作品には本格的な文学作品のようなテイストを感じさせる読み応えがあって、そこになんか惹かれてしまうところもありました。

表題作の「太陽の黄金の林檎」なんてポエティックなタイトルですもんね。

ブラッドベリSFのテイストに慣れてきたということなのか、割と楽しんで読めるようになってきた感じでした。

宇宙でどうのこうのというやつは苦手なのですが、ブラッドベリの作品はいわゆるエスエフというよりは幻想文学とでもいうべき作品が多い印象でした。

私が一番印象に残ったのは、タイムマシンで恐竜狩りに行く話です。タイトルは『サウンド・オブ・サンダー』。

タイムマシンという、ドラえもんとかでなじみのある装置が出できていたのですが、ただのファンタジーではなく、恐竜狩りをしても歴史が変わってしまわないように配慮がなされた上で運営がなされているという。

作品世界が細かいところまで綿密に構築されている。

岡田斗司夫氏がユーチューブチャンネルで、「日本の企業はガジェットを開発することはできても、それを生み出すことによって社会がどのようになるかということまではイメージしていない。海外の企業はそれができていて、そこが日本との差なのだ」というようなことを話していたのを拝見したことがあるのですが、なんか納得がいく感じがしました。

作者が思いついたSF的着想だけでなく、物語が矛盾したり破綻することのないよう、細かいところまでしっかりと考えられている。

それがずっしりとした読みごたえにつながっているのかもなと思った次第。

その他、黒人の野球チームと白人の野球チームが対戦する話も入っていたのですが、この作品集が初めて世に出たのが1952年あたりだということを考えると、このお話も一種のファンタジーなのかなと思って読みました。

ブラッドベリ作品にも少しずつではありますが慣れてきたので、ここらでそろそろ長編を手にとってみてもいいかな。

『華氏451度』がよかったですからね。

SFをめぐる冒険は続くのでありました。

SFをめぐる冒険(5)~『太陽の黄金の林檎』~_b0128246_21480582.jpg


# by harris-b48 | 2024-01-20 21:48 | 読書
すごい作家に出逢ってしまった。

『ハヤカワSFオールスターズ』より『紙の動物園』(ケン・リュウ著)を購入し、表題作を読み終えたところなのだけれども。

この表題作が素晴らしくて。とても素晴らしい。

まずタイトル。『紙の動物園』ですよ。これ、間違いなくテネシー・ウイリアムズの『ガラスの動物園』のオマージュでしょう。

果たして、巻末の解説にもそうありました。作者自身が述べているとのこと。

作者のケン・リュウ氏は中国生まれのアメリカ人作家です。

氏の自伝的な要素がストーリーに盛り込まれているあたりも『ガラスの動物園』を彷彿とさせるし、そのエピソードが醸し出す雰囲気もとてもよい味になっているという。

主人公と彼が幼い頃に中国人の母親に作ってもらった折り紙の動物たちをめぐる物語なのですが、

泣けた。

わずか30ページほどの分量なのに、これだけの世界観を伝えられるとは。

短編小説、侮れない。

2002年デビューの作家ですから、文体なども違和感なく読めてしまうのもうれしいところ。

親が子を想う気持ちのなんと尊いことか。

この作品だけでいい感じ。

この1編のみでいいから読んでほしいです。

私も実際、この作品がすご過ぎて、これ以外の作品を読めないままでおります。

なんか、読む気にならなくて。

短編小説1編にこれだけやられたのは初めて。

『紙の動物園』、この1編だけでいいから読んでほしい。

オススメです。

SFをめぐる冒険(4)~「紙の動物園」~_b0128246_18055502.jpg


# by harris-b48 | 2024-01-17 18:06 | 読書